記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:
2022年度の倒産件数が、6799件(前年度5916件、14.9%増)となり、3年ぶりに増加しました。(集計期間:2022年4月1日~2023年3月31日 発表日:2023年4月10日 集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産 調査機関:株式会社帝国データバンク)
一方で、インバウンドを中心に景気は活況で、人手不足、賃金の上昇が続いています。変わらず続く物価高、賃金上昇圧力と増税路線、長引く戦争の影響を横目に、ここでは、2023年、これからのビジネスはどうなっていくのか、どの方向に行けば成功し易いのかを考えてみたいと思います。
この記事は、随時、最新情報にアップデートしていきますので、ぜひブックマークしておいてください。
- コロナ対策関連
全国旅行支援特定国に対する水際処置感染症法上の分類見直し新たな変異株- ゼロゼロ融資の返済スタート
- 政治
日銀総裁人事統一地方選挙選挙- 衆議院解散の可能性
- G7広島サミット2023
- 増税議論
- インボイス制度
- 電子帳簿保存法
- スタートアップ支援
- 国際問題
- ロシア・ウクライナ戦争
- 米中覇権争い
- 台湾有事の可能性
- 環境(カーボンニュートラル)
- SDGs推進
- 再生可能エネルギー
- 原発再稼働/新設
- EV
- 炭素税
- 企業ミッションの見直し
- デジタル資本主義
- AI(ChatGPT/自動運転/ロボット)
- 空飛ぶ自動車
- メタバース
- NFT
- 物価変動
- 資源価格高騰
- インフレ率
- EV向け半導体不足&先端半導体は供給過剰
金融緩和政策の行方- 賃金上昇の可能性
- 働き方改革
リモートワーク廃止(出社回帰)- キャリアチェンジ
- 人材不足
- 早期退職制度(黒字リストラ)
マスクを、未だ屋外でも着用している人が多い日本。旅行キャンペーンは4月以降も継続(給付額の上限に達するまで)が決まり、定価が値上がりして特典適用で通常価格になるなど、やや歪んだやり方も見られるようになりました。そして、5類への変更もあり、業界はインバウンドを中心に盛り上がっています。外資系高級ホテルは建設ラッシュです。
世界ではインフレが進み、日本は安くて品質の良い国として旅行先、投資先の国としても大人気です。一方で、日本人は20代若者や女性の貧困は深刻ですし、人口が減り続けていることも盛んに指摘されるようになりました。
昨年、一時1ドル150円を超えた為替相場は落ち着きつつあり、執筆日(2023/05)時点現在は133円前後で安定しています。とは言え、海外に依存している資源の価格が高いことに変わりはなく、今後も値上げは避けられないでしょう。
そして、引き続きロシア産物資の輸入も滞っていますので、中国の水産物や牛肉の爆買いの影響も併せて、関連の外食産業では一層淘汰が進みそうです。
これからのビジネスは、大きくやると失敗した時に大変
起業18は、小さく起業準備を始めることを是としていますが、私たちのセミナーにいらっしゃる方の中には、多額の資金を要する大きな起業を考えている人がたくさんいらっしゃいます。
しかし、多くの上場企業が早期退職制度の導入を始める今です。民間企業の平均給与も433万円余りとなり、2年連続で減少しています。2024年以降の増税、そして、金利引き上げによるアメリカ経済の減速、最近では米銀行の相次ぐ破綻もあり、予断を許さない状況です。
故に、これからのビジネスは、個人で起業する場合には、引き続き慎重にならざるを得ず、固定費(家賃・人件費)のかかるビジネスを選択することは、どうしてもリスクが高くなることを認識しておかなければなりません。
これからのビジネスのポイントは3つ
- 固定費(人件費/家賃)は、可能な限り少なく抑えれられているか?
- 柔軟に変化/撤退できる余裕を残せているか?(資金/時間的制約)
- オンライン化に対応できるビジネスモデルか?
これからしばらくは「身軽に」「いつでも」「どこでも」
こんな不確実性が高い時だからこそ、これからビジネスを始める場合には、小さくスタートしておきましょう。これからのビジネスのポイントは「身軽に」「いつでも」「どこでも」です。そして可能なら、団塊ジュニア世代をメインに狙うことです。
では、小さくするのなら、どんな起業アイデアが成功するのでしょうか? 個人は、こんなスタートをすれば成功するのではないか、という例を書いてみようと思います。
健康スポーツ関連
日本代表が素晴らしい活躍を見せたサッカーワールドカップ。たくさんの子供たちが習い始めるでしょうし、競技人口は増えていくことでしょう。そして、WBC(野球)は見事に優勝! オオタニ選手を始め、侍ジャパン選手に憧れて野球を始める少年は増えるでしょう。世界イベントを経て「やってみたい!」「習いたい!」と思う人が増えれば、これからのビジネスにつながります。
すでに、多くの企業においてテレワークがなくなり、以前の生活が戻っています。満員電車や忖度&理不尽な組織でストレスを感じるは多くいますし、ダイエット、サウナ、健康関連のブームは続くと思われます。
コロナ禍でオンラインサービスが一気に広まり、自宅でできる運動やダンスを紹介するYouTuberも多く登場しましたが、競合が激増した上、スタジオ、ジムに戻る人も多くなったため、広告収入は減る傾向でしょう。ビジネスモデルの転換が必要になるかもしれません。
環境・グリーン・サステナブル(SDGs)関連
脱ガソリン車や再生可能エネルギーなどの大きな流れは、大企業や行政がやる仕事です。日本ではEV化について、2030年代半ばにガソリン車の新車販売を廃止すると打ち出されていますが、550万人が従事する産業が転換期を迎えたら・・・、多くの労働者がキャリアチェンジの必要性に迫られることになります。参政党さんが盛んに反対されていますね。
実際にはEV化推進に対しては、自動車を生産している各国の思惑、各社の労働組合の抵抗もあり、このままスムーズに進むかは不透明ですが「環境保全ビジネスへの切り替えしない=時代に合わない悪いこと」という空気が醸成されていく可能性は高いです。
しかし、各国の国益が複雑に絡み合う中で、欧州ではエネルギー問題が深刻化する可能性もあり、一旦、環境問題は棚上げされる可能性もないとも言えません。今後の動向から目が離せません。
しかし、アメリカも環境派の抵抗でシェールガスの大幅増産には踏み切れない様子。つまり、棚上げはあり得ても、全体の流れは変わらないのでしょう。やはり個人も継続して「自分のビジネスにちょっとだけSDGsに関連する貢献を入れる」こと、そんなプチサステナブル、ミニSDGsは目指すべきと思います。
やはりこの先も、消費者が「いいね!」と言ってくれること、ちょっとしたエコ、エシカル、ヴィーガン、そんなことを差別化の原動力にできるビジネスが注目されるでしょう。
たとえば、三重県鳥羽市の鳥羽国際ホテルが、チーズケーキの使われないスポンジ部分を再利用したパウンドケーキを開発し、食品ロス削減に取り組んで人気化したように、メディアで取り上げられるようなちょっとしたこと、個人にもそんな配慮と工夫のあるビジネスアイデアが求められます。
新しい集客サポート
フェイクニュースやエビデンスの提示が不十分な情報などを排除する流れが急加速しています。ヤフコメも登録制になりました。これまでも検索の世界では、YMYLと言われる人に重大な影響を与える分野の情報に関しては、発信者の十分な権威性や信頼性が求められてきましたが、その勢いがさらに加速しています。
検索アルゴリズムが進化し、従来のネットマーケティングによる結果の操作が通用しなくなったこれからは、新たな「集客ビジネス」が求められるようになるでしょう。
アルゴリズムといたちごっこだったネットマーケティングは姿を消し、総合的な知識を持つ、情報発信をディレクションできるマーケッターが勝ち残るようになります。或いはもしかすると、AIの進化を超えてくる天才が登場するかもしれませんが・・・。
クリエイティブ関連
クリエイティブ関連と言っても幅が広いですが、たとえば、デザイナー、デザイン関連で起業する人は増えるでしょう。これなら小さく起業できますし、NFTという新たな技術の登場で、俄然注目のジャンルになっています。
クリエイティブ関連は、NFT、AIや3Dプリンタの普及で、この先大きく飛躍する分野です。しかしながら、AIが従来型の仕事の多くを奪っていくことは避けられません。いかに使いこなし、共存するかがカギです。最新のトレンドをしっかり掴んでください。
高品質生産農家
農業も、これからのビジネスとして注目される産業の一つです。130円前後レベルの円安であれば、ビジネスチャンスを感じる人も多いでしょう。
日本の農業分野の一番の課題は、既に語りつくされた高齢化の影響です。しかし、今から少子化を抑制できたとしても、成果がでてくるまで20年近くかかるわけですから、やはり、改革は必須と言えます。
もちろん、事業化して目指すところは「高品質農業」です。農地造成、作付け効率や作業の軽減で、労働コストよりも収入を高くすることが目標となります。
欧米式の産業型大規模農産業ではなく、極めて小規模、都会であっても農家が存在し、そして地産地消していく姿が日本らしいですが、それでも全体の世帯数減を考えれば、今こそ、株式会社の参入、輸出市場を見据えた生産性の向上が必要ですね。
AIを活用するシステム
デジタル庁も立ち上がり、デジタル化、DXの流れは止まりません。そして、IT、通信技術は進化し続けています。もちろん、これからのビジネスとして有望な分野です。ChatGPTを始めとするAIの劇的な進化があったり、デジタル通貨の登場があったりと、新たな価値がブロックチェーンの中で生まれ、それが膨大な利益を獲得する事実を作りました。
今後、さらに注目の分野は・・・短期的には〝ChatGPT×●●〟というシステム。まずは2023年に多くのベンチャー等によって無数に開発され、その後、後発で個人が無料リリースする進化版に駆逐されていくことが予想されます。そんな中で、おそらく安定度ナンバーワンはセキュリティ分野でしょう。
セキュリティ分野もAI同様、スタータップ支援の下、プログラマーとして優れた若い人が続々とベンチャーを立ち上げ、そして数年で廃業していくことになるでしょう。過酷な大競争時代の幕開けです。
建物・スペース活用ビジネス
空き家活用はずいぶん前から提言されています。これからも空き家は増える一方のはずですから、空きスペース再利用ビジネスは、今後も活性化するでしょう。
空き家物件を仲介するだけの不動産ビジネスは、もうすでに飽和しつつありますから、今後は、ベンダーとして物件活用自体をプロデュースし、業態によってその設備からインフラをデザインするなど、クリエイティブ要素が重要になってきますね。
シェアオフィス兼シェアハウスのようなサービスも続々と登場しています。
インバウンドビジネス
感染症前は絶好調だったインバウンド。2007年から2008年にかけて観光立国基本法ができ、当初年間500万人程度だったインバウンド観光客は、2013年に1000万人を超え、2019年には3200万人になっていました。
また、医療観光として、セカンドオピニオン以上の治療方法を消費者に見せる観光ツアーが、ビジネスチャンスとして話題になっていました。ですが、時代は一変しました。日本は医療最先端というイメージでしたが、大阪などでは医療崩壊寸前まで行った現状を見れば、すでにその地位は揺らいでいるのかもしれません。
2024年にかけて、インバウンドは再び成長産業になります。かつてのような、銀座に観光バスが行列するような時代はもう来ないかもしれませんが、環境変化をしっかりと捉え、たとえば英会話ビジネス、国際恋愛ビジネスなど、小さく開業できる方法を模索すれば、チャンスはいくらでもあると思います。
まとめ:これからのビジネスとは?
大きな流れは、ネットニュースや新聞を読めばわかります。その流れが個人ビジネスで出来る範囲にどう降りてくるのか、そこに着目しましょう。外資は、空き店舗を安く借り上げたり、中古品や土地を買い叩くなど、着々とこれからのビジネスのために動き出しています。私たちも負けてはいられません!
個人にできるこれからのビジネスの範囲は限られますが、時代の変化の中で、チャンスはたくさんあります。それに気づけるのかどうかだけです。
さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全10冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
★会社員のまま始める起業準備・6ヵ月で起業する!【セミナー@東京/オンライン】
★自分のタイミングで学びたい、セミナーは苦手、というあなたは【動画版】起業セミナー(特典付き)